2014年7月2日
サッカーワールドカップ
  日本の1次リーグ敗退について
 コロンビア8位、ギリシャ12位、コートジボワール23位、日本46位、これは2014年のFIFAランキングである。

 日本は1勝もできず1次リーグで敗退し、決勝トーナメントへ進んだのはコロンビアとギリシャだったが、この結果はFIFAランキング通りで当然とも言える。

 パスやセンタリングの精度もドリブルのスピードやバランスもFIFA上位国とはレベルの差があると言わざるを得ず、日本のメディアの過大評価と騒ぎ過ぎと思ったのは私だけであろうか?

 コロンビア戦も冷静に戦力を分析すると勝ちが難しい事は素人目にも明らかだったが、「日本は勝てない」と報じたメディアは一社も無く、相変わらず「奇跡が起こって勝つ」の大合唱であった。

 私はどうしても前々回のサーカーワールドカップ予選リーグ第1戦、日本が逆転負けしたオーストラリア戦を思い出してしまう。この試合でNHKの解説者は「オーストラリアの選手は後半疲れる」と言っていたが、昭和17年9月21日の朝日新聞も「大東亜戦争は菜食人種と肉食人種の戦いである。肉を食うものは一時的に強い力を出すが持続力が無く長距離を走ればライオンはキリンに負ける」と書いている。

 この時の予選リーグの第3戦、ブラジル戦も冷静に戦力を分析すれば日本が勝てない事は素人目にも明らかだったが、この時もメディアは「奇跡が起こって勝つ」の大合唱で、「日本はブラジルに勝てない」と報じたメディアは1社も無かった。

 集団的自衛権容認に反対の朝日新聞だが、戦前の朝日新聞は快進撃を続けるヒトラーを礼賛し今から見れば決定的な誤りと考えられる日独伊三国同盟締結を歓迎する記事を書いている。冷静に戦力を分析すれば日本はアメリカに勝てないにもかかわらず、朝日新聞に「神風が吹く」と言われて何人の日本人が死んでいったのだろうか?

 現代にも通じる人間社会の本質が百家争鳴の時代に言い尽くされている事に驚くばかりだが、「マスメディアが国を滅ぼす」という事も紀元前に韓非子が「五蠹(ごと)」という物語の中で看破している。ここで「蠹(と)」というのは木を食い荒らす虫のことで、学者、言論人、遊説家等、言うだけで自分の発言に対して責任を取る必要が無い人達が国を食い荒らすと言っている。

 当時はマスメディアという言葉はなく、韓非子は「口舌の徒」という言葉を用いているが、さしずめ現在で言えば、ニュースキャスター、ジャーナリスト、有識者、解説者と称する人達に相当するだろうか。