埼玉県の25年度予算案〜反対理由
2013年5月9日

【病院事業予算〜反対理由】

●第1点は精神医療センターの人件費率110%です。この数字は22年度の民間精神病院の人件費率の全国平均63.4%はもとより、自治体精神病院の全国平均99.7%よりかなり高く人件費だけで赤字になる予算には賛成できません。

●第2点は小児医療センター新病院の建設費用です。総事業費約317億7千万円の積算根拠となる本体工事費、外溝費などその内訳については「今後の適正な入札のため公表できない」との答弁でしたが、総事業費だけでは高いか安いか審議出来ません。

●第3点は「今後5年間の県立病院関連支出の総額は?」という質問に対する病院局の回答は「運営費については判らない」でした。県立病院への一般会計からの運営費繰入金は年々増加し、19年度の67億6千万円から23年度は78億6千万円と11億円も増えています。それに対して救急車の受け入れ数は年々減っており、「今後5年間で幾ら掛かるか判らない」では賛成できません。


【一般会計予算〜反対理由】

●第1点は県民最大のニーズである救急医療をやらない県立病院に77億7千万円も赤字補填をする必要はありません。

 25病院延べ36回受け入れを断られて亡くなった久喜市の救急事例に於いて救急隊が県立呼吸器・循環器センターに受け入れの要請をしなかった理由は同センターが救急告示医療機関になっておらず、最初から彼らの頭の中に無かったからです。

 予算特別委員会に於いて知事と病院事業管理者から「県立病院は救急告示医療機関である事が望ましい」という前向きな答弁もありましたが、現在、県立病院は3次救急指定はもとより、一つも救急告示医療機関にすらなっておりません。

●第2点はここ数年の経常収支比率は約97%で、県が自由に使えるお金はわずか300億円から400億円という状況が続いています。25年度予算も財政調整4基金から742億円を取り崩し、25年度末の残高見込みはわずか158億円です。
 不測の事態に対し財政調整基金は800億円程度はある事が望ましく、年度末の不用額を積み戻す自転車操業的予算編成には賛成できません。
 上田知事は3期12年を一区切りとしていますが、今後更なる高齢化で民生費等の増加が予想される中、財政調整基金残高158億円で次の知事に引き継ぐのは無責任です。


【埼玉県の行財政改革の本丸】

 既に埼玉県の人口当たりの県職員数は全国1少なく、県民サービスと職員のモチベーションの維持を考えると人員の削減や手当の減額にも限界があります。

 県政に於ける行財政改革の本丸は県立4病院と県リハ病院部門の独立行政法人化です。建物の新築・増改築は県が出資し、運営を独立採算にすれば年間約90億円の財源が捻出できます。初年度の繰り入れは60億、2年目は40億、3年目は20、4年目は10、5年目は0円と漸減すると同時に県立4病院と県リハを加えた5病院でほぼ全科をカバーしていますので、県立大学医学部付属病院として整備可能です。医学部の付属病院は1箇所の総合病院である必要は無く、たこ足病院であってもカリキュラムの工夫で充分機能致します。

 県立病院の独法化を県政に於ける旧国鉄とも言うべき病院局自身に検討させても答えは「No」に決まっています。