知事は常々自らの業績として公営企業の黒字化を挙げていますが、平成22年度の県立4病院の純利益9億5100万円は損益計算書上の話で、一般会計から81億8300万円繰入れしての黒字ですから、これは民間病院では72億3200万円の立派な赤字です。

 知事は昨年の9月議会で「何でも県がやると、国の様に財政赤字に陥るので、民間でできることはできるだけ民間にやってもらい、公共でやる事を本当にやらなければならないものに絞り込んでいく」と答弁していますが、結核患者などを収容する採算性の低い感染症病棟と訴訟のリスクの高い周産期医療以外は県がやらなくても民間で出来ます。

 加えて昨年度13億1900万円の赤字を出している県立リハビリテーションセンターの病院部門も民間で出来ます。

 昨年度の県立病院の救急車の受入状況は、小児医療センターは2025人ですが、循環器・呼吸器病センターは1145人、がんセンターは348人、精神医療センターは7人、県リハは0です。

 私の勤める指扇病院でも年間2000人以上の救急搬送を受け入れており、さいたま市立病院やさいたま日赤が年間6000人以上受入れているのに比べて、県立病院の救急車収容数は少な過ぎます。そもそも県リハを含む県立5病院はいずれも救急告示機関になっていません。

 救急医療をやらない公立病院は存在意義に乏しく、県立4病院と県リハを民営化すれば年間約85億5000万円、10年間で約855億円の財源が捻出できます。私はここに医学部設置の財源があると思います。
2012年3月8日
「埼玉県立医科大学の行方
  その3:
医学部設置の財源