2011年12月25日

 2011年末に、北朝鮮の金正日総書記が亡くなりました。
 北朝鮮はご存知のように朝鮮労働党による一党独裁体制ですが、独裁国家と民主国家の違いは何処に有るのでしょうか?

 民主国家に於ける自由と権利は「言論の自由」と「普通選挙の参政権」です。

 この「自由と権利」の対価としての国民の「義務と責任」が「納税と国防」である基本構造はギリシャ・ローマの時代から現代の欧米先進国に至るまで変わっていません。

 兵役の義務が無い女性の参政権が初めて認められたのは1893 年ニュージーランドに於いてあり、米国でも1920年、英国でも1928年の事です。日本では1925年に普通選挙法が成立するまでは一定の納税額のある男子にしか選挙権が無い制限選挙であり女性の参政権が認められたのは1945年で戦後です。


 
「言論の自由」と「普通選挙の参政権」を認めずに「納税と国防」だけを国民に課しているのが、独裁国家と言えると思いますが、周知の様に、北朝鮮には言論の自由が無く、選挙も事実上は義務投票・公開選挙で普通選挙ではありません。

 振り返って我が国を見ると、憲法でも国民の義務に「国防」は規定されておらず、「国防」とか「安全保障」の話になると国民も政治家も思考停止状態になり、マスコミは極端なアレルギー反応を示しますが、アメリカでは共和党も民主党も、イギリスでは労働党も保守党も「自分の国は自分で守る」あり、強大だったローマ帝国が滅んだのは国防を傭兵に依存したからです
 ローマ帝国の属州は自治が認められ、納税の義務はありましたが、自らの軍を持つ事は認められず、軍役は免除されていました。まさに米国の戦後日本の統治法はローマ帝国の属州の扱いと全く同じです。

 「自らの国を自らの手で守っていない日本は独立国家と言えるのか?」については国と都道府県の相違点を考えると判りやすいと思います。

 現在の埼玉県の人口は719万人ですがちなみにフィンランドは525万人、ノルウェイは462万人であり、埼玉県の人口は中規模の国家より多いのですが、埼玉県は国ではありません。
 その理由は埼玉県民には県民税の納税の義務はありますが、防衛の義務が無いからです。
 
 フィンランドもノルウェイも人口は埼玉県より少ないですが国軍を有し自らの国を自らの手で守っています。ここが、国と都道府県の差で、逆に埼玉県民が埼玉県を自らの手で守る軍を持てば埼玉県は国です。


 
北朝鮮による邦人拉致事件に於ける日本の態度は、例えて言えば自分の娘が暴漢に襲われている時に、自らは武器を持って戦う事無く、隣のおっさん、つまり米国に助けを求める親父の様なものです。そんな親父の姿を見て、息子、つまり日本の若者は日本にプライドを持てるでしょうか?

 万人、万国が善であるならば、鍵も警察も軍隊も要らない訳ですが現実の人間社会では残念ながら抑止力というものが必要だと思います。国防とか安全保障に全く関心が無い現政権では北方領土はロシアに、尖閣諸島は中国に、竹島は韓国に盗られるのは時間の問題と危惧される2011年末でした。
「金正日総書記の急逝に想う」