「やっぱり新都心複合ビルには
  市庁舎移設しかないのでは?」
 新都心複合ビル建設事業から建設事業者の三菱地所グループが撤退を示唆し、本事業は完全に暗礁に乗り上げた現状になっている。

 昨年のさいたま市長選で市が複合ビルの公共施設として計画していたサッカープラザの白紙撤回を公約に掲げた清水勇人氏が当選し、「子ども・多世代ふれあい広場」を代替案として提出するなどの日程の遅れもあるが、新都心複合ビルの現行計画はオフィス棟が地上39階、高さ186mで駐車場を除く延べ床面積が約13万5千u、公共公益棟が地上5階、延べ床面積約2万2千uとなっており、オフィス棟の広さは高さ137mの大宮ソニックシティのオフィス棟の約1.7倍である。
 リーマン・ショック以降の景気低迷から都市部のオフィス需要の冷え込みは著しく、三菱地所グループが総事業費約800億円の本事業継続を困難と判断し、撤退も視野に入れるのは当然の帰結である。

 この状況を打破し、本事業を継続するには一番安定したテナントであるさいたま市か埼玉県の公共施設が複合ビルのかなりの延べ床面積を占める必要があるが、周知の様に浦和市・大宮市・与野市の合併協定書には「新市庁舎は新都心周辺が望ましいとの意見を踏まえ、合併後速やかに市民参加の審議会を設置し、庁舎建設基金を創設する」と明記されており、新都心複合ビルに市庁舎がテナントとして入ればこの合併時の約束も清水勇人新市長の公約も守られる。 

 新都心のオフィス賃料を月額約15,000円/坪と仮定し、現在のさいたま市役所(浦和区役所部分を除く)と議会棟にときわ会館を加えた総延床面積33,889u の年間賃料は約18億円となる。一方、さいたま市にはこのビルの固定資産税と都市計画税で約8億円、更に少なくとも1000億円と見積られる経済効果の1%=10億円の税収増が見込まれ、ビルの一部を市庁舎として借りれば市の財政負担なく市庁舎の移設が可能である。

 政令市を抱える都道府県には通常、国際会議場・国際展示場・ホテルの複合施設が具備されている。国際級の会議施設も無く、大規模の学会すらホテルが足りず開催できない埼玉県の現状を鑑みれば、新幹線の停車する大宮駅に近く首都高速からも直通の新都心複合ビルにはさいたま市庁舎と国際会議場・国際展示場・ホテルの複合施設が最適ではないだろうか?ホテルは61室しかないブリランテ武蔵野に別館を営業してもらい、また浦和の市庁舎跡地には浦和区役所に隣接する形で老朽化した北浦和の社会保険病院を移設してはどうか?

 いずれにせよ、景気が低迷している今だからこそ国民に施しを配るバラマキ政策よりも、雇用を創出し経済を活性化する政策を打ち出す必要があると思う。
2010年4月25日