「国民のため」「市民のため」と言いながら
 さいたま市議を6年間やらせて頂き政治の世界を垣間見て学んだ事が2つあります。

 一つは「嘘つきは議員の始まり」です。お母さんから毎月1500万円ずつおこづかいを貰っていても「知らなかった」と言える人や、「知らない間に事務所の金庫に4億円入っていた」と言える人でないと政界では要職に就けない様です。

 二つ目は「議員ほど節操なく保身に走る人種は居ない事」です。

 円高・デフレによる不況が続き、党首と幹事長の元秘書が逮捕・起訴されても民主党内から「首相交代・幹事長降格」の声が聞こえて来ないのは独裁的な小沢一郎幹事長の機嫌を損ね公認を外されると次の選挙で勝てないからです。以前の自民党には亀井静香氏や平沼赳夫氏の様な無所属でも選挙に勝てる人物が居て党内から「首相交代」の声が挙がりましたが、現在の民主党の国会議員の大多数は民主党の看板が無ければ選挙になりません。民主党の1回生議員には殆ど発言権が無く、小沢幹事長の意に沿わない副幹事長を解任しようとする現状を鑑みると自民党の方が民主党よりも言論の自由が保証されています。

 某新聞が昨年の総選挙で民主党の選挙対策委員長を務めた赤松農水相が在日本大韓民国民団の新年パーティで「永住外国人への地方参政権付与を条件に民団から組織的な選挙支援を受けた謝礼を述べた」と報道していましたが、自分達の議席獲得のためには国を売りかねないのが民主党の実態です。普天間基地の移設問題で日米関係を悪化させても民主党が社民党との連立を重視するのは次の選挙で同じ選挙区に社民党の候補を立てられて票を割られる事を避けるためです。

 民主党の敵失にも拘らず支持率が上がらない自民党のメルトダウンはもはや再生不能かもしれません。麻生太郎氏が一昨年の9月、内閣支持率が48%で一番高かった総理大臣就任直後に解散していれば自民党はこれほど大敗しなかったと思われますが、当時の自民党の調査では自公の過半数確保が微妙な状況で万一の場合は首相退陣でした。西松建設事件で当時民主党代表の小沢一郎氏の公設秘書が逮捕された昨年3月にも解散のチャンスがありましたが、この時も自公での過半数確保が困難なため見送られました。民主党代表が鳩山氏に変わって故人献金問題が表面化した時も解散を見送り、東京都議選・衆議院選挙の自民党ボロ負けに繋がった事は周知の通りです。当時の麻生氏の頭の中は一日でも長く総理の座にいる事と自分自身の選挙の事だけで、自民党の事も他の議員の当落も無かったと思われます。

 「自分の尊敬できない人が教授になると医局を去る」という医者の世界とは対照的に日本の政界では大多数の議員は「勝ち馬に乗ってポストを得る事」と「次の選挙で当選する事」しか考えていません。
「国民のため」「市民のため」と言いながら、本音は「自分のため」なのです。
2010年4月1日