テロ特措法で解散総選挙を
 7月29日の参議院選挙の大敗を受けて安倍新内閣が発足したが、またまた農水大臣の醜聞等で前途多難な船出となっている。しかし、ピンチはチャンスにもなり得る。

 先の参院選で大勝した民主党は参議院の第1党となったが、憲法9条・安全保障について挙党一致できない事は周知の通りである。この際思い切ってテロ特措法の延長問題を利用して民主党を分裂させ憲法9条・安全保障を軸とした政界再編を進めてはどうか?

 即ち、テロ特措法の延長法案を野党とすり合せるのではなくこの法案が参議院で否決されたら小泉前総理のやった郵政解散の様に衆議院を解散し「テロ特措法の延長に是か非か」を国民に問えば良い。そうすれば安倍総理の最も得意とする分野で勝負でき、民主党を分裂に追い込む事も可能である。

 メディアは総選挙の争点を内政問題に矮小化しようとするだろうが、「中東から日本に石油を運ぶタンカーの航行を守っているのが米軍の第7艦隊である事」、「現在の日本人の平和で豊かな生活がどれほど米国に依存しているか」、「国防という国家にとって最も基本的な事を他国に依存している日本は国際社会では米国の属国に過ぎず、独立国家と見なされていない事」、「憲法9条の第2項がある限り日本は独立国家たりえない事」等々で論争して欲しい。

 民主国家に於いて国民の自由と権利が「言論の自由」と「参政権」であり、それに対する国民の義務と責任が「納税」と「防衛」であるという基本構造はギリシャ・ローマの時代から現代の欧米先進国に至るまで普遍である。国民に「言論の自由」と「参政権」を与えずに「納税」と「防衛」だけを課しているのが北朝鮮の様な独裁国家と言えよう。

 都道府県など地方自治体にも納税の義務はあるが、防衛の義務はない。人口が埼玉県の700万人より少ない国も沢山ある。つまり人口規模に関わらず防衛の責務がある共同体が「国」であり、「防衛」を米国に依存している現在の日本は独立国家と言えないのである。

 万人・万国が「善」なら鍵も警察も軍隊も不要だが、現実の人間社会では小学校に乱入して児童を殺傷する輩やオウム真理教やアルカイダの様なテロ組織も存在する。他国民を勝手に拉致し死に至らしめる独裁国家が隣接している現状では国民の生命と財産を守るには残念ながら抑止力は必須ではないだろうか?
 
 北朝鮮の邦人拉致事件は「自分の国を自らの手で守っていない国は国民の生命と財産を守れない事の証左」に他ならず、在日米軍の縮小・退去も自分の国を自分で守ってはじめて言える事だろう。

 国の安全保障政策は基本的には「自分の国は自分で守る」、「未来永劫、他国の軍隊が駐留しその傘の下に居る」、「非武装中立で外国から侵略されたら降伏する」の3つに大別されるが、民主党の多くの議員は「自分の国は自分で守る」という国際社会では当たり前の事が言えないのである。

2007年9月4日