障害者自立支援法について
 障害者自立支援法が今年の4月から導入され、この10月から本格施行される。

 これにより、これまで障害者福祉に於いては所得に応じた負担制度(応能負担)であったのが、所得の多寡に関係なく原則1割負担(応益負担)となる。

 これに対し今年度の保健福祉委員会・副委員長の立場上、様々な障害者団体から負担増に対する苦情を頂いているが、そもそもこの法律は少子高齢化で税金や社会保険料を納める人が減り、福祉を要する人が増える中、財政が立ち行かなくなり障害者福祉の行政サービスを受ける方々にも受益者負担をお願いするものである。

 少子高齢社会では低負担高福祉はあり得ず、高負担高福祉か低負担低福祉しかない事は御理解頂けると思うが、高齢化率15%以上の欧州諸国では国民負担率(税金+社会保険料負担の対国民所得比)は軒並み50%以上で、消費税も15%以上である。それに比し日本は高齢化率19.6%(2005年)に対し国民負担率は35.5%(2004年)で消費税も5%に過ぎない。

 前回の衆議院選挙で日本国民は小さい政府を選択した訳であり、この国民負担では受益者負担増は不可避である。

 私の議員個人としての障害者自立支援法に対する立場は「我国の国民負担の現状では応能負担にならざるを得ない」とするものだが、やはりここでも生活保護とのバランスが問題で、月額負担上限額(低所得1:15000円、低所得2:24600円)が設定されてはいるものの生活保護の自己負担額は0円なので、低所得1・2で頑張るよりも生活保護を受給した方が楽なのである。低所得層が生活保護に雪崩込んで来た時の市の財政負担を考えると何らかの激変緩和策の必要性を感じている。尚、国も3年後にこの法律の見直しを考えており3年間の期限付きであるが。

 某新聞に「市独自の負担軽減策を求める57377人の署名を議長に提出した」という報道があったが、「負担が多い方がいいか・少ない方がいいか」と問えば「負担は少ない方がいい」に決まっており、「サービスが多い方がいいか・少ない方がいいか」と問えば「サービスは多い方がいい」が、多数を占めるのは火を見るより明らかで署名の人数で政策の是非を判断すべきではない。

 一般消費税が導入された時、無責任なマスメディアに煽られ大ブーイングの中、竹下内閣が倒れた訳だが少子高齢社会となった今、大英断であったと評価できるのである。

2006年9月6日