【総選挙の結果に想う】
 小泉去る9月11日に施行された衆議院選挙は自民党の歴史的圧勝に終わったが、ここまで自民党が勝つとは予想出来なかった。

 近年、小泉総理ほど自らの政策を実現するために体を張った政治家は見当たらず、郵政民営化の賛否を問う首相に国民が応えた結果であろう。

 この選挙は小泉総理に対する信任投票に等しく、投票所で自民党候補者の名前を探して投票した有権者も少なくないと思われるが、いずれにしても国民は「官から民へ」、即ち「小さな政府」を目指す小泉改革路線を選択したのは間違いない。そして、国民にも選択した責任が伴う事は言うまでも無い。

 一方、惨敗した民主党は43歳の前原誠司氏を代表に選出し巻き返しに懸命であるが、前原氏は従前から憲法9条については「侵略戦争を放棄した第1項はいいが、戦力不保持を定めた第2項は削除し、自衛権を明記すべき」と述べており、自民党の憲法9条に対する見解と変わらない。逆に、この路線で旧社会党の残滓が闊歩する民主党内をまとめるのは至難の業で、議論すれば党が割れるのは必至であろう。

 それは自公連立政権についても同様で、そもそも別の政党だから見解が異なるのは当然ではあるが、憲法9条や教育基本法に於いて自民党と公明党の見解にはかなりの隔たりがある。

 今回の選挙で与党は衆議院議席の2/3以上(自民295+公明31=326/480)を獲得した。従って先の郵政民営化関連法案の様に参議院で否決された法案も衆議院で3分の2以上の賛成で再決議すれば法案を成立させる事ができる。極論すれば与党は憲法改正を除けばどんな法案も成立させる事が可能である。

 憲法改正については第96条に「各議院の総員の2/3以上の賛成で、国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を必要とする」と定められており、衆議院のみならず、参議院に於いても2/3以上の改憲賛成を要する。
 また、現行の国会法には国会の発議機関設置を定める規定も国民投票の実施方法を定める国民投票法も無いので、まず憲法改正の手続きを定めた国民投票法案の成立が必要である。

 いずれにしても今回の総選挙で自民党は郵政民営化という踏絵で自由主義的な小さな政府という基本路線を確認し、党内の社会主義的な大きな政府を「是」とする議員を排除したと言える。次はやはり「自分の国は自分で守るか否か?」で国民の信を問うて欲しい。

 自民党の多くの議員は公明党の協力無くして小選挙区で勝てないというジレンマもあるが、平成19年の参議院選挙は衆参同時選挙にして憲法改正でもう一回ガラガラポンをしたいものだ。


 



2005年9月25日