【平成17年度予算議会に臨んで】
 平成17年度予算案を審議する2月議会が始まった。

 厳しい財政状況の中、地方交付税が16億円削減されたが、前年度に引き続きさいたま市は市の貯金に相当する財政調整基金(90億5600万円)を取り崩すこと無く前年度並の予算を確保し得た。

 平成17年度の予算歳入に於ける市税比率は52.5%で、この数字は13政令市中トップである。市税比率が50%を超える自治体は数える程で、ちなみに埼玉県予算に於ける歳入の県税比率は36.3%である。

 財政力指数、これは1に近いほど、その自治体の財政状態が健全である事を示す数字だが、全国市の平均が0.66であるのに対し、さいたま市の平成16年度の財政力指数は0.999であり、平成17年度は岩槻との合併による特例債もあり1.016となる見込みである。ちなみに埼玉県の財政力指数は0.66で、16年度に引き続き財政調整基金を取り崩さなければ予算を組めない状態である。

 さいたま市の自主財源比率63.0%もトップクラスで、相川市政はケチだという批判もあるが、逆にこの健全財政こそが最も評価されるべき点であろう。マスコミは政治家の悪い所しか取り上げないが良い所も取り上げて欲しいものだ。

 周知の様に大宮、浦和、与野の3市が合併して誕生したさいたま市は、政令市に移行し、更に本年4月には岩槻も合併するが、多くの市町村合併がマスメディアに煽られて新市名などを巡り破談になっている。

 しかしながら、新市名などはどちらかと言えば枝葉末節の問題に過ぎず、平成の市長村合併の問題の本質は合併して財政基盤を強化しないと、介護保険やゴミ処理が運営出来ない事、即ち、高齢化率の高い小さな市町村ではもはや行政サービスの事務処理すら出来ない事にある。

 地方交付税(使途を自治体が決められる金)と国庫補助金(使途が国から決定された金)はいずれも国から地方への生活保護の様なものだが、所謂、三位一体改革で地方交付税と国庫補助金を削減されると介護保険はもとより、ゴミ処理もままならない自治体が多数ある。

 先月、視察した某町では、住民投票の結果、自主独立の道を選択したというが、歳入に占める自主財源の比率は1割に満たず、財政力指数も0.143である。

 町議会は「自主独立の道を選択したから地方交付税と国庫補助金を削減しないで欲しい」と言うが、さいたま市の様に合併により財政を健全化させた自治体の地方交付税と国庫補助金が削減され、合併を破談にした自治体に交付され続けるのはまさに「頑張った者が報われない国、日本」を象徴しているのではないだろうか?

 合併の是非に際して住民投票を行っても良い事になってはいるが、前述の町に於いても、どこまで公正・公平な情報公開が為され、住民がどこまで町の財政状態を理解できていたか甚だ疑問である。

 直接民主制は住民の理解度が高い場合は機能するが、理解度が低い場合は容易に衆愚政治に陥る。だからこそ我々は公職選挙法によって市民の代表である議員を選び議会で決める間接民主制を採用しているのではないのだろうか?

 その町の職員さんにゴミのビニール袋が未処理のまま高く積まれた埋立地を案内して頂き、視察地を後にした。









2005年2月20日