「先生」と呼ばれる職業
 先日、市内の私立中学校で「医師の仕事の中身」について話しをする機会があった。

 英語では医師はDoctor、教師はteacher、弁護士はLawyer、政治家はPolitician・Statesmanとかそれぞれ別々の言葉があるが、日本ではこれらの職業は一括して、「先生」と呼ばれている。

 これには何か共通する事があるに違いないと思って考えてみると一つは「閉鎖された社会に住んでいて、社会的常識に欠けている事」だろう。そして、もう一つの重要な共通点は「9時〜5時ではできない仕事」という事ではないだろうか?

 生徒からの質問で一番多かったのは「医師として仕事をする上で一番大切な事は何か?」であったが、迷わず「9時〜5時の人間でない事だ。」と回答した。

 患者の立場からすれば、急変時に診に来てくれない医師に命を預ける気にはならないだろう。

 受け持ち患者の急変時には日曜でも、夜中でも患者の下に駆けつける。これは医師免許を持っている者の義務と責任であり、これが出来ない人は医者にならないで頂きたいのだが、最近の若い医師の中には「受け持ち患者が急変しようとも、休みを取るのは権利である。」という考え方が散見される。これも「義務と責任」はさて置き、「自由と権利」のみを強調する戦後教育の「歪」である。

 「最近の若い者は・・・」と言い出すと年を取った証拠だが、公立学校が没落した最大の要因は教職員組合が教師を9時〜5時の労働者にしてしまった事ではなかろうか?生徒のためなら6時、7時まで残って仕事をしてくれる教師でないととても自分の子供を預ける気にならないのだが。




2004年9月1日