第20回参議院選挙に想う
 現在の日本では一人一票の普通選挙が当然の様に思われているが、世界で初めて女性の参政権が認められたのは1893年(於ニュージーランド)である。  

 日本では戦後まもなくの1945年であり、明治初期は一定の納税額のある男子のみにしか参政権が認められない制限選挙であった。

 兵役の義務が果たせない女性には永らく参政権が無かった訳だが、「言論の自由と参政権」という「自由と権利」の対価としての「義務と責任」が「兵役 and/or 納税」である民主主義国家の基本構造はギリシャ・ローマの時代から現代の欧米先進国に至るまで変わっていない。

 そして、「言論の自由と参政権」を認めずに「兵役と納税」だけを国民に課しているのが、北朝鮮の様な独裁国家である。

 振り返って我国の現状は、国防は米国に完全に依存し、所得税を納めているのは国民の3分の1に過ぎず、法人企業も3分の2は法人税も事業税も納めず、消費税も先進国では最低税率である。また、最近は選挙の投票率も高いとは言えない。

 地方自治体にも納税の義務が存在するが、兵役の義務はない。ここが、国と地方自治体の差であり、逆に地方自治体がその住民に兵役の義務を課せばその自治体は国と言っても良い訳だが、国防を他国に依存し、国民の大半が納税の義務を果たさず、かつ選挙権も放棄され、無責任な言論の自由のみが跋扈する日本は独立国家と言えるのだろうか?

 まず、学校で、「言論の自由と普通選挙を獲得するために人類がどれほど多くの血を流して来たかという事」と「投票は自由と権利であると同時に先人達に対する義務と責任である事」を教育すべきであろう。

 投票に行かない人には罰金を課している国もあり、投票したい候補者・政党がない場合も棄権票でも、白票でも一票を投じてその意思表示をすべきである。そして、棄権票・白票が50%以上の場合、政党は候補者を立直し再選挙する位でありたい。

 現在、参議院選挙中であるが、参政権の対価が納税であるならば、参議院議員は過去6年間の納税総額の多い順から希望者100名として、英国の貴族院の様な機能を持たせてはどうだろうか?

 衆議院選挙の小選挙区では個人を、比例代表では政党を選択できる訳であり、現在の衆議院のコピーの様な参議院なら不要である。

2004年7月4日