日本人外交官2名がイラクで殺害され、テロの可能性が高いという。イラクへ派遣される自衛官の防備や武器使用についてはひつこく議論されているが、外交官が殆ど丸腰で無防備な事にまず驚かされた。

 そしてこういう事件が起こると日本のマスメディアは型の如く自衛隊の派遣反対を声高に論じる。

 しかしながら、イラクへの自衛隊派遣を論じる場合、「テロには屈しない」という建前も重要ではあるが、まず、日本の現在の豊かな生活がどれほど米国に依存しているかを日本人は再認識する必要があるだろう。

 日本の石油の90%は中東に依存しており、もしイラクがテロリストの手に堕ちれば現在の日本人の豊かな生活を維持する事が困難となるのは明らかである。

 イラクがテロリストの手に堕ちる事を防ぎ、安定化させる事に我国が汗を流さずに、米英、その他の国々がイラクを安定化させた後、石油を輸入するなどという厚顔無恥な事ができるだろうか?(恥を忘れた今の日本人ならできるかもしれないが)

 湾岸戦争では日本は汗を流さず金だけ出して、国際社会から全く評価されず、クウェートからも感謝されなかった事は記憶に新しい。それは例えて言えば、真冬に町内会でどぶ掃除をする時に、労力奉仕の代わりに金だけ出してコタツに入ってみかんを食べていたのが湾岸戦争での日本であった。

 そもそも我国は国防という国家にとって最も基本的な事を米国に依存しており、米国に物申せる立場にはない。

 「中東から石油を日本に運ぶタンカーの航路の安全性を確保しているのは米海軍である事」、更には「北朝鮮のミサイルから日本を守っているのが米軍による抑止力である事」を日本人は再認識すべきである。

 米国に物申すにはまず、「自分の国は自分で守る」という普通の国になる必要があるのではないだろうか?

追記:仏独が米英のイラク攻撃に慎重姿勢を取ったのは、両国が自分の国を自らの手で守っている事はいうまでもないが、本当の理由は反戦平和の奇麗事からではなく、仏独がフセイン政権のイラクへ大量の武器を輸出していたからである。何故かそれを日本のメディアは報道しない。






イラクへの自衛隊派遣に思う
2003年12月3日