社民党の辻元清美議員に続いて自民党の加藤紘一議員が議員辞職に追い込まれたが、政治家が辞める時はいつも金である。ここで「政治と金」の問題をもう一度考えてみたい。

 現在、我国の国会議員には月額137万5千円の歳費と年間約747万円の期末手当、それに文書通信交通滞在費(月額100万円)、立法事務費(60万円、各会派に支給)を加えて年間約4380万円が支給されている。更に、現職の政党支部長には政党助成金(国民1人当たり250円を負担)から、約1000万円が助成され、国会議員の歳費と経費の合計は5000万円強である。加えて一人の議員に対し、公費で給与が賄われる公設秘書が3人まで認められている。

 これが必要十分かという事が問題で、秘書3人では足りない様で殆どの議員は自前の私設秘書を雇っている。昨今、ボーナスを入れると秘書1人あたり年間500万円以上は必要で、仮に、東京に3人、地元に3人の私設秘書を雇えば3000万円は必要となる。加えて事務所の維持費、パンフレット、ポスターの費用の他、議員本人と家族の生活費も必要で、選挙の時はその費用も必要となり国会議員であり続けるためにはやはり年間5000万円以上は必要と思われる。ちなみに米国下院議員の歳費は日本より少し安いが、国で給料を払ってもらえる公設秘書が18名、選挙区人口の2倍分までの郵送費は国の負担であり、政策活動の個人負担は日本より少ない様だ。

 公明党や共産党は聖教新聞や赤旗で集金可能だが、他の政党は組織の力は殆どなく、特に自民党は「自分党」と称され、ここに利権がらみの献金が発生する温床がある。自民党の派閥が解消されないのは、派閥に入れば選挙時の支援が得られ、また逆に派閥の領袖は派閥を維持するための金が必要になり、集金に奔走する。かくして、理念なき利権の互助会、橋本派が最大派閥であり続ける。まず、献金を全く受けなくても議員活動を維持できるようにしなければ政・官・業の癒着の問題は解決しない。

 そこで、提案だが、国民1人当たり年間1000円程度の負担で政治がクリーンになるのなら、10人分程度の秘書給与を国費で負担するか、或いは、候補者にも配慮するなら、政党助成金からの政党支部への助成を年間4000万円程度に増額し、「政党支部は、いかなる献金も受け取ってはならず、政治家個人の政治資金管理団体や後援会への個人献金も10万円(現在は150万円)以下」としてはどうだろうか?政治家個人への企業団体献金は既に禁止されているが、政党支部への企業団体献金も禁止すれば派閥や族議員の存在意義はなくなる。

 もう一点は議員(国会議員に限らず、市議、県議も)に立候補する者には公務員試験程度の資格試験を課す事である。そうすれば、安易なポピュリズムに走る危険性も減り、あまりに程度の低い人物が議員になる事も避けられる。何の資格も必要ない職業が「ヤクザと政治家」というのは再考すべきではないだろうか?
 
追記:4月1日発売の雑誌「正論」の5月号の298ページから305ページに小生の駄文「混合診療こそ医療改革の決め手〜日本の医療サービスは共産主義だ」が掲載されました。







【政治とかね】
2002年4月10日